ダッ.

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新国立劇場『リチャード二世』2020/10/22

新国立劇場で『リチャード二世』を観劇

翻訳 小田島雄志 /  演出 鵜山仁

 

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初めて観た作品。演出家の人も初めて観た方。

2009年から行われていたシェイクスピア歴史劇シリーズの最終上演だったそう。

まさかの最初が最後。

でも12年前は10歳だったし、人生初観劇の劇団四季『ライオンキング』が13歳だし、そもそも埼玉だし!って自分を慰めてるけど、ちゃんと情報チェックしとけよ!

 

開演前にパンフレットを読み込んで、なんとか話に置いて行かれることはなかった。

 

終焉から5時間経って今強烈に印象に残っているのは

謀反人になりかけたオーマール公(亀田佳明)とその母(那須佐代子)がヘンリー(浦井健治)に許しを請い、父ヨーク公横田栄司)が処刑を求めるシーン。

盛大に笑った。すべての間が完璧すぎで、何といっても那須佐代子さんが圧巻。(笑)

 

こういうシーンがあるのは本当に嬉しい。

返事をする浦井健治の声使いと間も最高。ああ面白かった。

 

全体としては、何とも憎めないチャーミングさをまとうリチャードを演じる岡本健一さんが天才。

昨年風姿花伝のあの小さい空間で岡本健一さんと那須佐代子さんが出演するドロドロの恋愛劇を体感して釘付けだったんだけど、今日も本当に素晴らしかった。

 

近年よく観るシェイクスピアの翻案作品とは違って、かなり忠実な舞台のように感じたけど、面白かったなあ。

海辺を感じる美術、照明もすごくよかった。

特に傾斜になっている坂はバックライトがあって神々しいし、

こうゆうときに使うと全体が引き締まって言葉を奪われるような瞬間ができあがるのか!と胸が高まる瞬間があって最高だった。

 

衣装も可愛かった。

 

いい作品を見れて嬉しい。

 

 

 

 

 

ミュージカル『生きる』鹿賀丈史ver. 2020/10/12 13:30

 

宮本亜門演出ミュージカル『生きる』再演を初観劇。

 

その前に朝、iTunes黒澤明の『生きる』を観た。

志村喬の顔面の演技!すっごい。

人は死を意識して初めて自分の人生を生き始めるというのは、とっても皮肉。

命も時間も有限なのに、ついずっとあるものと考えてしまうよね。

 

そんな当たり前のことを無視してきて、あなたは死にますよって言われて初めて

慌てる姿は滑稽。

絶望してから生命力に満ちた輝きを放つのもまた皮肉。

こうゆうのを人間のおかしみと言うのかな。

滑稽でまぬけだけど愛おしい。

 

このことに早く気づければいいんだけど、

やっぱり若いとすべてが一生続くと根拠なしに信じてしまう部分がある。

頭で分かっていても実感して、実際に行動に移すのは難しい。

 

けど希望のあるあったかい作品だった。

第一この作品を見れば、余命宣告を受ける前に「すべてのものは有限」という

当たり前のことを自覚して人生を送れる!!

 

少なくとも渡邊勘治のように、完全に絶望して慌てる必要はなくなるだろう。

渡邊勘次はいわば、みんなの身代わりになって大切なことを教えてくれた現代のジーザス=クライスト=スーパー・スターなんだよ!これはラッキー!

 

見ながら考えてたんだけど、

明日死ぬと分かっていたら、めいっぱい美味しいごはんを食べて遊びまくると思う。

でも、あと半年だったら何をするだろう。

何ができるだろうって。

 

ああすごい映画だなあ。

やっぱ名作は名作なんだよ。(当たり前のことを実感として言ってしまってる)

 

それで本題のミュージカル。

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映画では途中で登場する小説家が、狂言回しとなり進行していく楽しいスタイル。

 

映画と比べて感想言うのはナンセンスだけど、渡邊の本当に居場所のないような

30年間定位置で毎日同じことの繰り返しを行ってきた人生というところがあまり感じ取れなかった。志村喬が化物すぎるだけなんだけど、こういう部分をミュージカルでしっかりと伝えるにはどうしたらいいんだろうか。

 

考えてみたけど、エピローグ的な部分は音楽に合わせてテンポよくうつしていかないと

上演時間6時間とかになってしまうよね・・・。

 

まちのおばちゃんたちが役所をたらいまわしにされるシーンは見事予想が的中して、

次々に出現するブースをおばちゃん集団がステージを歩き回り、その場面になるときれいに切り取られた照明がつくシステム。

(たまにこのシーンを舞台にするならこうするかなっていうのを予想して当たると

勝手にうれしい)

 

ここと渡邊が病院の待合室でおしゃべりおじさんに一方的にいらない話をされるシーンは、ミュージカル!って感じだった。

 

鹿賀丈史は渡邊にしては、かっこよすぎるというか、まぬけ感がないから

滑稽なおかしみははいけど、リアリティーがあった。

 

一幕最後の決心を歌うシーンは完全に心を持ってかれた。

 

二幕はあっという間だったんだけど

やっぱりラストの公園で歌うシーンは頭にこびりついてる。

 

結果映画と同じように感動した。

どの楽曲も美しく定期的に観たい作品。

 

鹿賀さんよかった。

 

そして今日は偶然鹿賀丈史さん70歳のお誕生日で、サプライズカーテンコール!!

楽しかった。

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熊川哲也 Kバレエ『海賊』@オーチャードホール 10月15日14時公演

wowowで英国ロイヤルバレエの『不思議の国のアリス』を観てから、言葉なしに身体表現だけで物語を紡いでいくバレエの面白さにはまりつつあった2020年。

ようやく劇場で観れた。

その初生観劇作品がKバレエの『海賊』。

 

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昨日まで熊川哲也さんのことを知らなかったド素人が、放置していたブログを再開するレベルでるんるん

 

きっと誰もこれを読んでないだろうから事細かに書いちゃおうと思う。

 

開演前にパンフレットを購入。一般的な演劇のパンフレットの相場は1500円~2500円だけど、Kバレエは3000円でした。ちょびっと高いけど、文字数が豊富なタイプで大満足。たまにある写真9割タイプが嫌い人間なので、文字がたくさんあることのうれしさね!

 

パンフレットはお客さんが作品の中に入る前に最後に触れる媒体であると思うから

とても重要な橋渡し役だと考えていて、演出家とかの考えだったりがしっかり書かれていると、もう100%の状態で開演を迎えられる。

私はいつも開演前に客席で熟読するから、もはや本編の一部。

 

今回も熟読して完璧な状態で待っているところに出現したのが大きな航海図。

SSでサーチするという演出に一気に作品の世界にトリップ。

明るくなると透けて見える船に乗る海賊たち。なんだこの演出のかっこよさは!!

名前なんていうんだろ、明るくなると透けて、暗くなるとただの布に見えるやつ(笑)

 

海を表す美術も何が何だか分からないけどすごいんだよ。

あれは布なのか?

野田秀樹がよくやるやつに照明効果をプラスしたようなかんじのやつ。

 

航海図、透ける、航海図、透けるを繰り返して

情景を掴むエピローグ。視覚的にもうすごかった。

 

音楽は「あ、録音の音だな~」とわかる音だった。

最近生オケ作品をたくさん観劇してたせいだけど、やっぱり録音では立体感に欠ける。

生演奏だったらどんな感じなんだろうと少し考えたけど、でも十分な音質で全く不快ではなかった。

 

幕が開いたあとは、もうひたすらすごいんだよね。 (感想になってない☆)

軽やかに飛んだり静止したり、もうメリハリと間とすべてがすごい。

 

今まで劇団四季とかでもバレエシーンはあったけど、やっぱりバレエ専門の体つきをしているだけあってバレエがすごい。         (感想になってない☆)

 

観ていてとても心地がいい、最高に快。

 

あと思っていたより演劇性があって面白かった。

ダンスはダンスっていう感じでなく、

普通の演劇のように、感情のやりとりが身体と音楽を通してしっかり表現されていて

ハイブリット感が素晴らしかった。

 

事細かに感想書くと言ったくせにこの薄さ逆にすごい。

 

でもそんな感じ。

 

とりあえず12月の『くるみ割り人形』のチケットを購入したので楽しみ。

 

 

 

 

活字のスター/ 「映像の世紀」を見る。第1集「20世紀の幕開け カメラは断片をとらえ始めた」

2020年5月30日(土)

映像の世紀」デジタルリマスター版 第1集「20世紀の幕開け カメラは断片をとらえ始めた」(1995)を見た。

 

今年はドキュメンタリー番組に関する科目を履修してるから、ドキュメンタリー番組の代名詞「映像の世紀」を1から見ることにした。

高校の頃から授業で断片的には見てきたけどしっかりと見たことがなかった番組。

なんと、課金してNHKオンデマンドで。

まさかNHKに追加で課金する日がくるなんて。

 

第一集は20世紀の幕開け。

動くヴィクトリア女王に、動くトルストイ

トルストイて歩くんだ!トルストイってしゃべるんだ!

 

わたしの頭の中で、もはや概念上の存在でしかない人物たちが動いてていちいち感動。

ロマノフ家の映像もみんな無表情でおもしろかった。

戦争の映像は逆に見慣れてしまったけど、街並みや普通の人々の記録映像はほんと新鮮だなあ。

これが100年くらい前の現実だったのかと思うと、今の時代に生まれてよかったと思う。

Twitterもないし、焼肉もない。

この時代に生まれてたら、趣味:草をむしる みたいなことになっていたのだろうか。

 

トルストイのところで、映像技術が発展するまでは

活字の才能がある人がスターだったというのが衝撃だった。

スポーツ選手もラジオスターもハリウッドスターもいない時代。

 

いや考えれば分かることだけど、考えないから分からなかった。

みんなの憧れ「活字スター」。いいなあ。活字のスター。

『タージマハルの衛兵』プレビュー公演

素晴らしい作品だった。

何年たっても忘れないと思う。

 

思ったことを無秩序に

 

想像力は、目の前に広がる視覚的な恐怖を超越した恐怖を、頭に浮かばせる。

 

「怖い」「考えたくない」と思っても。

 

たわいもない会話から思いもよらない方向へと進行していく物語。

 

「タージマハルを超える美しいものをつくらせないために、16年もの年月を費やして完成させた人たちの両手を切り落とす」

 

「美の終わり」

 

絶対的な権力をもつ国家を目の前に、個人は何ができるのか。

 

「知ること」は人間に充足感をもたらす。

「想像力」は開放をもたらす。

「美しいと感じること」は快をもたらす。

 

しかし、絶対的な権力を行使する国家に従属する個人にこの3つの力によって言葉では言い表せないほどの絶望を味合うことになる。

 

だから、考えることをやめないといけない。

考えるな、となる。

 

考えるな、知ろうとするな。

 

「知りたいと思う」ことが人間らしさであり、

「知ること」で充足感を得る。

 

むずかしいね!

 

 

 

 

 

 

 

 

オペラ『セビリアの理髪師』

新国立劇場で『セビリアの理髪師

 

舞台美術がきれいだった。

 

なんだかミュージカルとか歌が究極に上手な人の歌を聞きすぎて、最近歌声に感動することがなくなってきた。🐰🔥

 

上手なんだけどね。すごいんだけどね。

 

オペラはミュージカルと違って

1曲につき言いたいこと1つなんだね。

なんか英作文の1パラグラフに主張は一つみたいな(違う)

 

永遠に同じ言葉を歌ってるよね。

ちょいと飽きてしまった、。え

 

でもオペラは上級国民の娯楽だった。

だからこれでいいんだ。

 

新国立にくるたびに、東京藝大の声楽科の学生みたいな高貴な雰囲気を纏った人間になりたいなと思う。

埼玉県出身だから

『アルトゥロ・ウイの興隆』白井晃演出

カフカの『アルトゥロ・ウイの興隆』

白井晃演出版を観劇。

 

カフカていうのと題材に惹かれて観に行った。

 

感想としては、「なんだかもったいない」。

独裁者の興隆をポップに描くことで逆説的に、

観客に恐怖を体感させる構成になっていたんだけど、ラストシーンで「どうですか。これが・・・」と直接観客に語りかけてきた瞬間に萎えた。

 

真面目なことを真面目にいうのはつまらない。演劇だからこそ、もっと面白くできたのではと思ってしまった。

 

特に昨年末の傑作、ダルカラードポップの衝撃の『マクベス 』を観てしまったから、その影響もあるかもしれないけど・・・

 

題材も本もいいんだけど、2020年バージョンに

大きく脚色してもよかったんじゃないかなと思ってしまったから「もったいない」。

 

音楽のバンド演奏と

草なぎ剛さん演じるアルトゥロは完璧だった。

 

脚本がもったいないと感じた。