四月大歌舞伎 第一部『小鍛冶』観劇メモ
四月大歌舞伎 第一部『小鍛冶』観劇メモ
第一部『小鍛冶』
三條小鍛冶宗近・・・市川中車
巫女・・・中村壱太郎
弟子・・・市川笑三郎
弟子・・・市川笑也
弟子・・・市川猿弥
勅使橘道成・・・市川左團次
てきとーなあらすじ
天皇に刀を打つよう命じられた名工の宗近は、自分の力量が足りていないと悩み、奇特を得ようと稲荷山を訪れる。祈る宗近の前に忽然と童子が現れ、事のすべてを知っているかのように話しかけると、協力を約束し姿を消した。その存在を理解した宗近は鍛冶場へ戻る。巫女や弟子たちが入念な準備を施した神聖な鍛冶場で宗近が祈りをささげていると稲荷明神が現れる。刀鍛冶に取り掛かると、互いに息の合った間で打ち合い見事な刀ができた。宗近がそれを道成に差し出すと、見事な出来をほめたたえた。
4月5日(月)3階6列 4月20日(火)3階6列
中車(香川照之)さん登場
姿勢、所作、オーラ、歩き方に目を惹かれる風格がありうっかり「幸四郎さん?」となる。中車さんです。
中車さん舞踊
登場から一貫して通常の中車さんよりかなり背が高い錯覚が起こっている中、
しっかりとした体幹によって気高く、かつ美しい見事な動き。
あまりの素晴らしさにうっかり「本当に中車さん?」となる。中車さんです。
歌舞伎を観るようになってまだ一年経ってないけど、ここで一旦過去に観た中車さんを振り返ってみる。八月『与話情浮名横櫛』和泉屋多左衛門、十二月『心中月夜星野屋』星野屋照蔵。あれ二つだけか。中車さんについて語る権利なし!
でも多左衛門、照蔵のような役回りとTwitterでたまに見かける虫大好きという
イメージを持っていると、今回の宗近はかなりギャップを感じた。
そのギャップを持って登場から威厳を放ってるんだから凄まじい。
もしかして:ギャップ萌え
最初宗近は、天皇に見合う技が自分にはないのでは?と悩んでいたから稲荷山に行くわけだけど、それが「不安」という感情ではなかったのが中車さんの素晴らしさだと感じた。その姿勢も含めて名工としの威厳、エゴなプライドではなく純粋な気高さ、が表れていた。
「うわ!なんか出たー!」と言いたくなるご登場。THE童子。
照明演出もあり、かなりスピリチュアルに、厳かな雰囲気。
動き出すとやっぱりスピリチュアル。動くスピリチュアル!素晴らしい!
猿之助さんの歩きというか歩み、前後移動動作は、人間感がない。
身長が高くないからこそできる技か、重心が低いだけではない異様なパワーを感じる。
猿之助さんの舞踏はずっと観ていたい。オンリーワンの技。
稲荷明神 猿之助さん
花道からの登場!
シルバーに輝く、ほんきで、神様。ほんきで!
いやあ歌舞伎以外でここまで幻想的というか、文字通りに神々しい、瞬間を体験したことがない。ここでしか体験できないんじゃないかと思う。
息を呑む気迫と輝きと踊り、猿之助さんは人間ではない。
稲荷明神は神様である。
神様は人間ではない。
猿之助さんは稲荷明神である。
ならば猿之助さんは人間ではない。
そういうことである。(違う)
刀を打つシーン
音の響きと言い、音楽としての素晴らしさといい、踊りまで
ひたすらに贅沢、贅沢、贅沢なひと時。
この感動をどうしたら言葉で伝えられるだろう。
巫女 壱太郎さん
大好きな女形の壱太郎さん。艶やかでひとつひとつの所作が美だと感じる。
時間に奥行きが感じられる、かわいらしさというか、美しさ、佇まいが素晴らしい。
弟子 猿弥さん
存在が太陽!!(笑)
おどけたように見えて、恰幅のいいようにみえて、
かなりな体幹マッチョを感じる素晴らしい動き。
もはや重力もコントロールしてそうな軽やかな動きに、4人いるシーンで壱太郎さんと猿弥さんを見るだけでも目が足りない事態。
軽やかで、まろやかで、ちゃっかりマッチョ
でもそれさえも感じ取らせないようなおちゃらけた雰囲気。
なんだか恐ろしいすばらしさ!