プルカレーテ演出『真夏の夜の夢』@プレイハウス 2020/10/20 19:00
演出 シルビヴィウ・プルカレーテ
潤色 野田秀樹
舞台美術・照明・衣装 ドラゴッシュ・ブハジャール
音楽 ヴァシル・シリー
映像 アンドラシュ・ランチ
出演
鈴木杏・北乃きい・加治将樹・矢崎広・今井明彦・手塚とおる・加藤諒・壌晴彦・長谷川朝晴・山中崇・河内大和・土屋佑壱・浜田学・茂木桜子・八木光太郎・阿南健治・朝倉伸二
2017年に観たプルカレーテ演出『リチャード三世』が幕間た瞬間からぶっとんでて
その怪作ぶりに3年たった今も、余韻に浸ってるんだけど、
3年ぶりにそのプルカレーテ演出を見れると分かってコロナ禍の6月からわっくわっくだった。
リチャードの時は、谷賢一さんが演出助手をされていて、「この世におもいを絶って死ね」と訳した木下順二版を使っての上演だった。
今回は、潤色として野田秀樹さんが入られていたのでまた違ったカラーになるだろうなと予想していた。
そしたら見事にプルカレーテの異様な世界と、野田秀樹さんのファニーな言葉遊びと世界が共存していてハイブリットだった。
ビジュアル、音楽、衣装はプルカレーテの世界なんだけど、日本語の面白みは完全に野田秀樹!
(作品のテイストも全く違うから比較ではない)
『リチャード三世』のような雷に打たれたような衝撃は無いけど、じわりじわりと確実にやばかった。「着実に」ていう形容詞がなんか似合う。着実に、誠実に、確実に変。
脳にこびりつく聞いたこともない異様かつポップな音楽も、プルカレーテ。
パック役の手塚とおるさんと、メフィスト役の今井明彦さんが狂言回しのように
舞台を操ってるんだけど、もう今井明彦さんの空間制御力がお化けで本当になんだったんだあれは。
このお二人は、りちゃ3で手塚さんがアン女王、今井さんがマーガレットを演じられていてそこでも化物だったんだけど。
いやあ、この二人が今回の舞台を回してるのは納得だし、これだよ!
思い返せば一幕第三場で佐々木蔵之介演じるリチャードに、呪いの言葉を浴びせるマーガレット今井さん強烈だったし、
実は『リチャード三世』で物語を操っていたのは、今井さん、マーガレットだった!!
そうだった!
いやあ感服ってこうゆうときのための言葉だよね。
オーベロンは壌晴彦さん。衣装がやばい。これは生で見てもらいたい。日常会話で使う意味での「やばい」。隠れてるんだけど、美脚とその奥がシンプルに見えそうな危なっかしい恰好してて、プルカレーテのキャラクターの捉え方は凡人は理解できない。
やばいんだけど、なんかそれが正解に見えてくるので余計におかしい。
「壌晴彦」という概念が頭に入ってる人は、それを思うと余計に目が離せなくなってしまう。知らないほうが幸せかもしれない。
オーベロンの妻、タイテーニアは加藤諒くん。
これがまた素晴らしかった。女王の強さというか、I want it , I got it みたいな舞台上には表れない部分、人物背景も感じられつつ、しっかりと場を統制されていて、オーラも持ち合わせていた。
ときたまご(ハーミア)の北乃きいさん、そぼろ(ヘレナ)の鈴木杏さん、板前ライ(ライサンダー)の矢崎広さん、板前デミ(ディミ―トリアス)の加治将樹さんも
もちろん素晴らしかった。この4人のドタバタはかなり正統派な演出がなされていた。
妖精が「妖精」ではなく、キャラクターわけがなされていたのも面白かった。
年の精(浜田学)、目が悪い精(吉田明弘)、あたしの精(八木光太郎)、夏の精かしら(阿南健治)、耳が悪い精(土屋佑壱)。
役名だけみても野田秀樹の感性がダダもれしている。
この精たちもまた面白いんだあ。
4カ月わくわくしてた甲斐もあったし、ほんと楽しかったなあ。
非常な感性を持ったグローバルなお二人が成した作品。2020年生きててよかったあ!!